生成AIが“探究型学び”を支える時代へ——山口県が全国に先駆けて全公立中学校に導入
2025年5月、山口県のすべての公立中学校(特別支援学校中学部含む)153校に、学校向け生成AIサービス「スタディポケット」が導入されます。対象となるのは、生徒と教職員あわせて約33,000人という大規模なプロジェクト。県教育委員会と19市町が連携して実施するこの取り組みは、都道府県単位での全校導入としては全国初の試みです。
モデル校7校での実証からスタート、生徒の変化が導入を後押し
今回の全校導入のきっかけとなったのは、2024年度に行われた県内7校での実証実験。生徒の「探究心」や「表現力の向上」「家庭学習の質の向上」など、目に見える効果が多くの現場で確認されました。
たとえば、岩国市立岩国西中学校では「生成AIが思考を深める対話相手として機能」し、周南市立住吉中学校では87.9%の生徒が「学習に役立った」と回答。「答えを教える」だけでなく「考える材料をくれる」という新しい学び方が定着しつつあります。
現場の声から見えてくる、生成AIの“学びを変える力”
各モデル校からは、生徒・教員・保護者のリアルな声が寄せられています。
- 周南市立岐陽中学校:「学ぶことが楽しくなった」「一人ひとりに合った学びができて、自信や意欲が高まった」
- 山口市立二島中学校:「立会演説の原稿作成にAIを活用」「行事の下書きや校務にも効果」
- 宇部市立黒石中学校:「尋ね方を工夫する力がついた」「英語学習にも役立った」
- 萩市立旭中学校:「対話を通じて苦手や課題に気づく」「視点を提示して考える道筋が見えやすい」
保護者の安心感も高まる
生徒だけでなく、保護者の間にも前向きな声が広がっています。
- 「家庭学習の質が向上し、安心して見守れるようになった」
- 「先生がいなくてもAIに相談できることが心強い」
- 「学習を楽しんでいる姿に安心感と関心を持った」
これらの声が、AI導入への不安を希望へと変えています。
生徒も先生も“対話するAI”と一緒に成長する時代へ
スタディポケットは、ただの情報提供ツールではありません。生徒用「for STUDENT」は、直接答えを教えるのではなく、思考を引き出す問いかけをしながら学習を支援。教員向け「for TEACHER」では、校務や教材作成をサポートするテンプレートが充実しており、教員の負担軽減と教育の質の向上を両立します。
AIとともに考え、探求し、学ぶ。この姿勢こそが、これからの教育に求められる力です。
EDIX東京2025で事例発表も決定!最新情報をチェック
この全国初の先進事例は、2025年4月23日〜25日に開催される「EDIX東京2025」でも紹介予定。山口県教育庁の大川健志氏とスタディポケット代表の鶴田浩之氏が、プロジェクトの裏側や活用のリアルを語るセッションを予定しています(4月25日午後1時頃〜予定)。
生成AIで“すべての子どもに最適な学び”を届ける
山口県の今回の取り組みは、教育格差の解消や主体的な学びの促進といった現代の教育課題に、テクノロジーで正面から向き合うものです。これからの教育がどう進化していくのか、その最前線に、山口県の生徒たちが立っています。
“考える力”を育むパートナーとして、生成AIが当たり前になる未来——それはもう、目の前に来ています。